不撓不屈 生きる美学

病は気からという。半分当たっているけど、ちょっと承服できない気もする。どんなに明るく元気でも前向きな人でも病に倒れることはあるから。ただ最近分かったことがある。それは病気になっても気持ちが負けない人はいるということ。そんな人は普段から明るく前向き。健康な時の心の持ちようは病気になった時に如実に表れ本領を発揮する。

私の周りにも何度も辛い病気に苦しめられながらも挫けない人がいる。数年前、脳梗塞で倒れたママ友の見舞いにいった時「あんたたちも食事気を付けないと病気になるよ」と大きな声で諭されて帰ってきたことがある。「これじゃ、どっちが病人だかわからないね」と連れの友人と笑ってしまった。とても3日前に倒れて救急車で運ばれた人とは思えない迫力だった。そのママ友に先日ジムで久しぶりに再会したら、すっかりお元気。相変わらずの笑顔と声の張り。病気に負けないお手本みたいな人だと思った。

ご近所の習字の先生も不撓不屈の人。脊髄の病気で大手術を受け、一時は寝たきりになると言われたが、辛く長いリハビリの甲斐あって、今ではご自宅で一人暮らしできるようになった。先生はいつもお綺麗でパワフル。そして時に手厳しい。

昨年、先生から干し柿づくりの手伝いを頼まれた。約束した日、おすそ分けの「おでん」を手に家を訪ねると、テーブルの上には大量の柿。私は安請け合いをしたことに後悔を覚え、肩を落として小さくため息。ヘタを折らないように二つずつひもの両端に括り付ける作業は慣れないと結構難しい。以前自己流でやったことがあり何となくは分かっていた。

気を取り直して適当に取り掛かった私に「あなた、よく考えてから仕事なさいな。ちゃんと大きさを揃えなきゃいけないんだから、まず同じくらいの柿を対にして並べるところからやりなさい。少しは頭を使いなさい」。先生だけあって叱り方も堂に入っている。