その日、仕事から帰ると、待ち構えていた孝雄が、また「通帳出せ!」と。

そして、「どれだけ人を傷つけたら気が済むんや! 俺を殺す気か! どれだけ、ひどいことをしたら気が済むんや、もうええやろう!」と、そう叫んでから、「裁判するんやったら出たる。お前のこと全部話したるから!」と言い残して出かけていった。

裁判で私のことを全部話すって……そんなふうに言えば、私が怯(ひる)むとでも思っているんだろうか……。そんなわけないって! 私のほうこそ、あなたがしてきたことを全部話してやる。後悔しても知らないから。

時がきたら、冷静に第三者に判断してもらいましょう! その日も翌朝も孝雄は帰らず、夕方、私が仕事から戻ってしばらくして、ようやく帰ってきた。カップ麵をつくって二階に上がる。

この後は、てっきり家にいるものと思い、孝雄の晩御飯も用意したのだが、夜の八時過ぎにシャワーを浴びると、つくっておいたものには手を付けずに、また出かけていった。

二〇一二年五月六日(日)

四連休最後の日。朝六時頃に孝雄が帰ってきた。この夜は、本当に久しぶりに一緒に晩御飯を食べた。何があったのか知らないけど……「通帳出せ」とは一言も言ってこない。

その後、十時頃に外出したが、二時間くらいで戻ってきた。ゴルフの打ちっ放しにでも行ってきたんだろうか……。明日からは、一晩泊まりで出張だそうだ。(ということは、帰るのは八日やな……そういえば、お義母さんの一周忌の話を何もせんけど、どうなってるんやろ……十二日が命日やというのに……)

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『夫 失格』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。