出資金の解約・名義変更等の流れ

信用金庫や農業協同組合、生活協同組合、森林組合(「信金等」といいます)などの協同組織は会員が出し合った出資金を元手に運営されています。そのため、被相続人が信金等に預金口座を持っていると、別途出資をしている場合がありますので、その出資金を払戻し、もしくは名義変更を行う必要が出てきます。

1. 被相続人の自宅で探索

被相続人が上記の組織の会員で、なおかつ出資していた場合、出資を証明する「出資証券」「出資証書」「出資証明書」などが発行されていることが多いです。被相続人の自宅に出資証券等が保管されていないか、金庫や重要書類を入れている引き出しなどの中を一度探してみましょう。

ただし上場会社の株券電子化と同様、出資証券も電子化が進んでいます。出資証券の発行が廃止されると、電子化による管理に一元化され、紙の出資証券そのものは効力を失います。

紙の出資証券がない場合や発行されていない場合、基本的には出資内容を知らせる「出資配当金支払通知書」が発行されて郵送されてきているはずです。まずは思い当たる場所を探してみましょう。

2. 信金等の窓口で残高証明書の発行を請求

手元に出資証券等が見当たらない場合、出資金があることを見過ごす可能性もあります。

前述の預貯金の残高証明書(死亡日現在の残高)を請求する際に、名寄せ(該当の信金等における被相続人のその他の取引記録を合算すること)を行うと出資金が記載されているので把握できます。

その際に、必ず「解約する場合」と「名義変更する場合」の書類様式を窓口でもらっておき、記入の仕方を信金等の職員に確認しておくとあとの事務手続きが進めやすくなります。

3. 解約か名義変更かを決定し、手続き

遺産分割協議で出資金をどの相続人が取得するかを決定し、書類を提出します。

添付する書類は前述の預貯金の相続手続き書類とほぼ同じになります。遺言書で相続する相続人が指定されている場合は、それに従うこともあります。

・信金等から脱退して、出資金の解約を行う場合

解約する場合は、その信金等では年度末までは解約できず、翌期の4~5月頃に開催される総代会での議決後に解約、振込になります。

・出資証券等の名義を特定の相続人に変更して、信金等の組合員を継続する場合

※ 名義変更する場合は、特定の相続人の名義に変更することになります。出資証券名義を複数の相続人にバラバラに名義変更したり、共有で名義変更することはできない場合がほとんどです。対象の信金等に確認しましょう。

※ 名義変更する場合は、相続する各信金等の要件があります。例えば、住所や勤務地が特定の県、市町村にあるかどうかなどを審査されることもあります。担当者に確認してみましょう。