借地・借家・賃貸住宅の相続手続き

賃貸借契約は賃料が発生する貸し借りのことを、使用貸借契約は賃料が発生しない貸し借りのことをいいます。賃貸借契約の賃貸人もしくは賃借人が死亡した場合、使用貸借契約の貸主もしくは借主が死亡した場合、それぞれの相続関係は表のとおりとなります。

使用貸借契約の場合には、借主の死亡により契約が終了することになる点に注意が必要です。

例えば、親戚のおじさんが個人で建設業を営む甥っ子に、資材置場として自分の土地を無償で貸していたところ、甥っ子が死亡したような場合、本件土地の使用貸借契約は一旦終了します。借主死亡後も、使用貸借契約の継続を希望する場合、貸主と再契約をした方がよいでしょう。

また、賃借住宅の入居者(契約者)が死亡したときは、相続人がその権利を承継します。まずは、家主や不動産管理会社に入居者死亡の連絡をして、家族が入居を続けるのか、退去するのか打合せを行ってください。

ただし、市営住宅等の契約の承継については、当然に、相続の対象にはなりません。もっとも、収入状況や1年以上の同居の期間等、承継できる場合の要件がありますので、契約者が死亡した場合は、すみやかに担当窓口に連絡・確認するようにしてください。

貸主・借主死亡の相続関係

■ワンポイント 相続放棄をする前の注意点

相続放棄を行う予定の場合、遺品の処分は行わない!

賃借住宅の入居者(契約者)が亡くなった場合、相続人が、貸主から家財道具等の遺品の搬出や処分を求められる場合があります。

これから相続放棄を行う予定の場合、被相続人の遺品等を処分すると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあります。

そのため被相続人の遺品について、他の相続人もしくは相続財産管理人に引渡しができるまで、自分の財産とは分けて保管する等の処置が必要となる場合があります。相続放棄を検討中の相続人は、司法書士や弁護士に相談したうえで、慎重に手続きを行ってください。