ウーロン茶や紅茶では2個のEGCGが酸化重合したテアフラビン(Theaflavin)や、もっと多くのEGCGなどが酸化重合した高分子のテアルビジンが含まれています。テアフラビンは赤い色をした抗酸化作用を持つポリフェノールです。

健康への効能について多くの報告があり、試験管中でインフルエンザウイルスの増殖を抑えることが知られています。そのためサプリメントとしてヒトへの利用について、多くの企業が実用化を目指してきました。しかし、ヒトへの明確な効果は明らかになっていません。テアルビジン(Thearubigin)も抗酸化作用を持つ高分子ポリフェノールです。

ルビーのような赤色をしているので、それが名前の由来となっています。テアルビジンは紅茶に含まれる高分子ポリフェノールの総称であり、多くの高分子ポリフェノールが含まれています。テアルビジンに含まれる高分子ポリフェノールの分離精製は、多くの研究者によって試みられてきましたが、非常に難しく、成功した人はいませんでした。

私たちもMAFがウーロン茶や紅茶の発酵中にカテキン、特にEGCGが酸化重合したものと考えています。緑茶のなかに豊富に含まれているEGCGの分子量(モル質量)は458.372g/molですので、MAFはとても分子量が大きいことがわかります。

9,000から18,000という分子量から考えると、MAFはEGCGが20個から40個も重合したものに相当します。EGCGはエピガロカテキンと没食子酸が結合したエステルです。

MAFがEGCGの重合体ならば、その構造のなかに多くの没食子酸が含まれると考えました。そこで、MAFを、没食子酸を切り出す酵素であるタンナーゼ(Tannase)で処理しました。その結果、非常に多くの没食子酸が切り出されてくることがわかりました。したがって、MAFには多くの没食子酸が含まれています。