サ高住「美しが丘」には若者から初老の様々な多くの職員が働いています。部屋から出て職員を見付けられないことはありません。

こうした環境でサ高住「美しが丘」では、

『「集団から離れてちょっと横になる」「小上がりでくつろぐ」「陽だまりの中で本を読む」「音楽を聴きながらうたた寝」「コーヒーを飲みながら昔話」「心地よい距離感」「生まれ育った街を眺める」「集団から離れて詩作」「子供が遊ぶ様子を眺める」「居合わせる」「特別な居場所がある」「役割、交流、安らぎを感じる場所がある」などの居場所』(1)

を創出できたように思います。

人生の最終段階に住まう終の住処といっても、その数年は長いものです。そこの暮らしが単調にならないような住環境はホテル住まいのようなものとは異なるはずです。

初めてのお看取り

「最後は家族みんなでいられてよかったわぁ」

お父さんのお看取りをした後にいただいた、娘さんの言葉です。

この時、この事業をはじめた目的が間違いではなかったと実感し、お言葉に感謝しました。サ高住「美しが丘」が平成25(2013)年12月に開業したその月に、初めてのお看取りをさせていただいた方のお話です。

この中島さんは地方在住の70歳後半の方でした。半年前に突然に脳卒中になられ、地元の病院に入院、病状は重く、昏睡状態になりました。栄養を鼻から通した管で与えられ、命をつなぐことになりました。

さらに、全身に転移した肺癌も見つかりました。しかし、このような状態では積極的な治療はできません。かといって、年老いた奥様の家で看病するのはとても無理でした。

ただ、慢性期病棟で時を刻む毎日でした。そんな最中に札幌の娘さんが私たちのサ高住「美しが丘」を頼り、入居をご依頼されたのです。

「美しが丘」は病院でもない、ホスピスでもない、でも自宅での介護は難しい方たちの役に立ちたいと始めた事業です。

たとえ、数日から数か月しか生きられなくとも、ご家族と共に部屋で過ごしたい方々の役に立ちたい。その趣旨に賛同してくれた諏訪看護師、鈴木介護士と共にいっきに突っ走って開業したのでした。