その時だった。華奈の体に異常が起きたのは。突然、発作が起こった。もう誰にも止められないほどの激しい発作だ。一瞬の出来事だった。心停止。体が全く動かない。苦しい。おじさん助けて。

華奈は遠ざかる意識の中でおじさんに迷惑をかけないように何とか携帯で救急車を呼ぼうとしたが、手足が完全にマヒしていた。もはや自分では何もできない。

「おじさん。ごめんね。私の分まで幸せになって」

そうつぶやいた後、絶命した。享年21才、実に短い一生だった。飾り付けられたクリスマスツリーが悲しさを増加させていた。そんな事を露とも知らない高津はクリスマスケーキとサンタクロースのコスチュームをドンキホーテで買った。

サンタクロースの服で花ちゃんをびっくりさせよう。なかなかいい演出だ。そして、今日こそ告白しようと花屋で真っ赤なバラを買った。まっかなかぁー。いいねいいね。次から次へと出てくる。花ちゃん喜ぶだろうな。僕は君が好きだ。私もおじさんの事が好き。

そして2人は抱き合ってキス。

♫小さい花に口づけをしたらー♪

歌の中にもあるじゃないか。今日はクリスマスイブだし、ウーン、完璧なシナリオだ。これでいこう!

高津は帰路、一人で演じた。得意の絶頂であった。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『花とおじさん』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。