児童養護施設には虐待などで入所するお子さんが多いですが、そうなってしまったお子さん側の要因の一つとしてADHDなどの発達障がいが考えられるのではないでしょうか。虐待によって引き起こされる反応性愛着障がいもADHDと似たような症状を呈するために、虐待が先かADHDが先かよく話題に上がりますが、遺伝性を考えると、お子さんと片方の親御さんにADHDがあるために虐待される場合が多いのではないかと私は考えています。また、反応性愛着障がいのお子さんには反抗挑発症(ODD)が併存しているケースが多いようです。

お子さんがADHD、特に不注意型で何度言っても言うことを聞かないために、親御さんもイライラして虐待に至るというわけです。お子さんのやることに対し我慢ができず、衝動的に叩いたり蹴ったり怒鳴ったりしてしまうのでしょう。

だからこそ、できるだけ早期にお子さんのADHDに気づいてあげて、親子両方のADHDの症状が早期に緩和できれば、虐待もかなり防げるのではないかと考えます。

また、自閉スペクトラム症が虐待や育児ノイローゼに関わってくる例も少なくありません。

虐待とまではいきませんが、過去に叩かれるなど何かしらの暴力を受けていた自閉スペクトラム症のお子さんは少なくないのです。

親御さんが問題なのではありません。もちろんお子さんでもありません。言うことを聞くことや行動・言動の切り替えが苦手で、注意の転導性があり、物忘れが多いといった症状を引き起こす発達障がいが問題なのです。

イライラしたら手を上げる前にまず、お子さんと一緒にかかりつけ医や専門医に相談してみてはいかがでしょうか。かかりつけ医が少しでも発達障がいに理解のある医師ならば、専門医を紹介してくれたり、今できる具体的な対応策を教示したりしてくれるでしょう。そうすることで、暴力のない平和な家庭が築けるはずです。

このイライラの原因のほとんどは、実は自閉スペクトラム症の易刺激性によるものがほとんどです。この易刺激性は、成人にはまだ適応が通っていませんが、小児ではアリピプラゾール、リスペリドンなどの向精神病薬で治療が可能です。内服後約一週間程度で効果が現れます。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。