縄文人に対して、貨幣の概要を説明する必要がある。

貨幣づくりは印刷を残すだけとなった。林はその前に、縄文人に対して貨幣の概要を説明する必要があると思った。貴重なインクと紙を費やしたあとで「さっぱり受け入れられず無駄になった」となっては目も当てられない。

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林はユヒトに諮った。

「この辺りにはいくつかの集落があるんでしょう? 各村の代表者に笹見平に来てもらい、貨幣の説明をしたいんだ。ぼくらは全く面識がないから、ユヒトに口をきいてもらえないかな」

ユヒトは困惑した様子で「長老がなんて言うか――。イマイ村は昔からよその集落と交流を持たないし」

だが林が拝むように頼むので、ユヒトは話を村に持ち帰った。長老は意外にも「ぜひやりなさい」と許可をした。

「わしは集落同士が先祖の恩讐を超えて協力し合う日が来るのを待ち詫びておったが、そのきっかけが無かった。まさに好機じゃ。お前は笹見平を助けて各村を回ってみなさい」
「ありがとうございます!」
「わしは笹見平の不思議な若者らがやっていることに興味がある。お前、しっかり勉強して、わしに教えてくれよ」

ユヒトがこのことを笹見平に伝えると、林は大いに喜んだ。林は笹見平とイマイ村の混成キャラバン隊を結成し、近隣の集落に呼びかけて回ることにした。