美貌は皮一重

あの女性の乳房のふくらみの正体は、皮膚の下のひと際厚い脂肪の層、と言うより、プリンのような山型を形成している脂肪の塊にすぎないと素っ気なく記述されている。乳房の内容は腺体と脂肪からなり、腺体の大きさは殆ど個人差がないという。つまり乳房の大きさは脂肪の量によってのみ決まるというのが事実らしい。

あの膨らみの内側はきっと神秘的な構造になっているにちがいない、と今まで思い込んでいた僕は、信じられない思いだった。ちまたで大きい小さいと騒がれる乳房が、本当にただの脂肪の量のつき具合の違いだけなんて。

Beauty is but skin deep.

なるほど美貌なんて決して深い部分の現れではないらしい、この時点ではこのように納得した。実習書に曰く、乳腺の解剖においては、乳房の皮下の結合組織線維と脂肪を取り去り、乳頭を中心とする円板状の塊として、白くかたい乳腺の腺体を掘り出す、とある。よく分からないが、何か重大なことが書いてある気がする。

続いて、乳房になぜ脂肪が大量に沈着しているかと問い、いわゆる乳房の膨らみの何パーセントぐらいが、この脂肪の存在によるか観察せよ、と問う。さらに説明は続く、乳腺は皮膚に所属する腺なので、その下層の胸筋筋膜との結合が弱く、容易に剝がしとる事ができる……。