薬剤師・国際中医学専門員の佐田義尚氏が、「かゆみの原因」そして対処法についてわかりやすく解説していきます。

かゆみの原因~生活環境

(1)空気、水

アトピー性皮膚炎の発症率は、都市部に行くほど高くなる傾向にあると言われた時期がありました。近年は環境問題に対する意識の高まりもあり、都市部の空気や水も一時期ほどではなくなり、発症率の差もなくなっているようです。

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それでも水源の水質は悪く、自動車の排ガスなど空気を汚染する物質を排出するものもまだまだたくさんあります。水については、その水源の問題か、またはビルやアパートの貯水タンクが悪いのか、浄化されているはずの水道水が良くない場合もあります。また、工場や自動車の排ガスで喘息を起こすことはよく知られています。

私は大学時代、通学に自転車や原付バイクを使っていましたが、アパートの部屋で正常だった顔や手が、学校に着くと真っ赤になっていたことがよくありました。また、アトピー性皮膚炎がほぼ治まった時期にも、都会に行くとその空気が皮膚を刺すような感じがしました。ただし水や空気に関しては、その場所で生活する上では避けがたい問題になります。

(2)住居

現在、一般的に住居の密閉度が高く、多くが冷暖房を完備しています。これにより居住空間の空気の汚染・湿気の停滞もしくは乾燥が起こります。これはダニやハウスダストの温床にもなります。さらに最近は少なくなっているようですが、シックハウスという問題もあります。

現代のこういった一見快適に見える部屋も、上手に使わなければ体に影響してきます。人の体には体温を一定に保ち、外界から体内に異物が侵入しないように、入ってきた異物を排出する働きがあります。

これらの体の機能の一部が冷暖房の普及により弱くなってきていると言われます。私の最初のアパートはカーペット敷きの結露しやすい部屋だったので、ダニやハウスダストが多かったと思います。さらに窓の外は大通りに近く、あまり窓を開けませんでした。その上タバコを吸っていたので、居住空間としては良くありませんでした。しかしアトピー性皮膚炎を考慮して引っ越した部屋は、大通りから離れた、空気の良い静かなフローリングの南向きの部屋でした。

窓の外は土の庭があり、換気もできて気持ちが良かったのを覚えています。皮膚がたくさん剥がれ落ちていましたし、フローリングのためほこりが目立つので、ダニ退治機能付きの掃除機を常に使えるようにしていました。かゆみのひどい時には体がつらくて部屋全体までは掃除できませんでしたが、それでも日に一度は生活空間だけでもきれいにするようにしていました。

防ダニ、防カビの布団を使い、外気にさらすと花粉や大気中の微粒子が付着すると思い、季節によっては布団乾燥機を用いて乾燥させていました。部屋には空気清浄機も置いていました。もちろん洗濯は自分で行なっていましたが、洗濯洗剤は極力刺激の少ないものを使っていました。

酵素入りの洗剤だと、すすぎが不十分の時、洗剤に皮膚が刺激されてかゆみを誘発してしまいそうだからです。引っ掻いて出血していた時期もあったので、シーツを何枚も用意して頻繁に取り替えていました。

私の場合他の要素が強かったためか、これだけでは引っ越しの効果は、はっきりしませんでした。もちろん引っ越ししたり、洗剤に気をつけることで良くなる方もいますので、やはり住環境の状況判断は必要でしょう。