最初に住んだ所は、豊島区の2DKの小さなアパート。一番目の子供が生まれたのを機に、埼玉県富士見市というところに引っ越した。

時はまさしくバブルの絶頂期。それからしばらくすると二番目の子供が誕生した。ショーである。

この頃、家賃を払い続けるのがもったいないという思いと、会社社長の勧めもあり今のマンションを購入。千葉県K市に引っ越した。今思えば、頭金もないのに良く購入したと思う。

もちろん三十五年間の最長不倒ローンである。会社からも含めすべて借金である。バブルの雰囲気に踊らされていたのかもしれない。

しかし、家庭的には幸せであった。私達の家は七階建のマンション一階、一番端。狭い庭にはとある路線の線路が隣接し、すぐ横には児童公園がある。

線路を越えるとすぐそこは消防署。昼間だろうが夜中だろうが、緊急時にはサイレンの音がし、その度にドキドキする。窓は二重硝子であるが、それでも音は漏れてくる。

引っ越してきた当初は、通勤には少し不便であるが環境にも恵まれ、子育てには最適と思っていた。ショーが生まれて一歳位の頃のことである。この頃は、まだショーが障害を持っているとは夢にも思っていなかった。

私は家の中に入ると、テーブルの前を行ったり来たりしながら歩き回った。家に着いてから三十分も過ぎようとしている。

このまま苛々そわそわしていてもしょうがないので、家の外に出て探そうと思った。その時、電話がけたたましく鳴り出した。

私は急いで受話器を取り上げ耳に当てる。妻からだ。

「おとうさん? 車で探しているけどまだ見つからない。同じマンションの奥さんにも応援をお願いした。まだ、心当たりあるところを探してみる」
「わかった俺もすぐ探しに行く」と言って電話を切り家の外へ出た。

ショーの失踪は決定的になった。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。