1.宇宙

(1)宇宙の誕生と進化

我々の在籍しているこの宇宙が今あるような形(どのような形なのかはわかっておりません)で存在するに至った経緯については様々な説がありますが、その内、現在最も有力とされている説は、驚いたことに、宇宙は「無」から生じた、ということです。

宇宙誕生の一連のセットは、「最初に量子宇宙があり、それがインフレーションにより膨張し、次にビッグバンという爆発があった」というものです。

宇宙が「無」から生じたというのは、この宇宙誕生の一連のセットのうち「最初に量子宇宙があり」というこの量子宇宙の属性が「無」であるというのがその理由です。その属性は、「①無、②エネルギー、③大きさゼロ、④無限大の密度(②÷③)」であるということです。

①の「無」とは、時間も空間も存在せず、現在の宇宙にある全ての物質が一点に集まり密度が無限大になっている世界のことですが、このようなものを単に「無」と言って良いものかどうかについては大いなる疑問が残ります。

物体が極端に小さくなると、その存在確率は1を相当下回り物体は消えたり現れたりするということですが、消えている時を「無」であるということにしても、そこには何もないということではなさそうですから、「有」とか「無」とは一体どのようなことを意味するのかという問題が存在します。なお、この「量子宇宙」がなぜできたのかはわかっておりません。

「インフレーションにより膨張し」というのは文字通り量子宇宙が膨張したものですが、この膨張は光など及びもつかない速さの急激な膨張で、未知のエネルギーにより10の数十乗分の1秒という一瞬に大きさが数十桁も膨張したと考えられています。

「ビッグバンという爆発があった」というのも文字通り爆発をイメージしたもので、インフレーションの急激な終わりにインフレーションを起こした未知のエネルギーの相転移で解放された潜熱により生じたものであるとされています。

未知のエネルギーが物質と光となり宇宙は灼熱状態に変わりました。ビッグバンにより、膨大な量の光と熱が放出され宇宙は途方もない高温になり、プラズマ状態であった陽子と電子のため光は直進できませんでした。

一方、ビッグバンをきっかけに宇宙は膨張を始めたため、ビッグバンから38万年後には宇宙の温度も下がり、水素の陽子の回りに電磁力によって電子が捕らえられ水素原子ができた結果プラズマ状態が解消されて光が直進できるようになりました。

これを「宇宙の晴れあがり」と言っています。以後、宇宙の膨張はゆるやかなものになっています。原子が多く集まり中心部の密度と温度が高くなり核融合反応が始まり恒星が誕生しました。恒星は光り輝き然る後に時間の経過により核融合反応も終わりその寿命がつき爆発し崩壊しますが、その残骸が集まり又新しい恒星が誕生する、というサイクルが繰り返されています。

恒星が集まり銀河がつくられ、銀河が集まり銀河群、銀河団、超銀河団、グレート・ウォールなどを構成し、宇宙は現在の姿に進化したということです。

この「量子宇宙、インフレーション、ビッグバン」による宇宙の誕生説は、宇宙の誕生そのものやその後の宇宙に関わる問いや謎の全てではなくともその多くについて矛盾なく解決できるという信頼性から、現在では最も有力な説とされています。

しかし、「なぜできたかわからない量子宇宙」や「インフレーションを引き起こした未知のエネルギー」などに依拠している以上、「宇宙はわからないものから始まった」と言っていることになりますから、本当に正しいのかどうかについては今後の研究を待たなければなりません。

量子宇宙が仮説であることは勿論ですが、インフレーションもビッグバンもまだ十分に証明・解明されているわけではありませんから仮説の域を出ていないということになります。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。