2、僅か1ヶ月で通常勤務に、カギは工程短縮1/2以下(図1)

概要がわかったところで私は次の提案をしてみました。「2ヶ月後の10月までに、組立の時間を1/2以下にすることに挑戦してみませんか」。

すると直ぐ社長から発言がありました。「それは人を増やす話ではないですよね」。

勿論人をふやす話ではありません。作業の改善によって実現するのです。

そしてOさんが大きな挑戦なのに何のためらいもなく「ハイ」と聞き入れてくれたのは意外でした。私は、このような、社員のひたむきで前向きの姿勢がE社の財産だと思っています。

次回訪問は1ヶ月後でした。途中で、状況によってはヒントを上げようと何度か思いましたが、あえて電話もせず次回の訪問日を迎えました。

Oさんに会って開口一番「どうでしたか」と尋ねますと、「17:00はムリですが18:00には退社できるようになりました。」とのことでした。Oさんは上司の全面的な支援を得て僅か1ヶ月で問題を解決したのです。

社長は、大幅増益効果、に大満足の様子でした。それは加工費が殆んどタダ同然(追加費用無し)になったことを意味していました(材料は支給)。

(主な改善点)
①出庫品置き場を150%確保
②入庫品を初めから出庫品置き場に置き作業する
 これによりピッキング作業後の商品の移動が不要に
③ピッキング作業を店舗ごとの作業から部品ごとの作業に
 これにより移動距離大幅削減

[図1] 工程短縮

3、受注拡大と新規受注につながった(図2)

後に、納入先から組立の品質を評価されて西日本全域の受注を得、新たな運輸部門の受注にもつながったとのことでした。

工程を1/2にすることは、不要な工程を削除し、作業をやりやすく簡素化することを意味しています。その結果作業者に余裕が出来品質にもよい影響が出てきます。僅か1ヶ月で果たした見事な成果で、社業に大きく貢献することになりました。

最大の成功要因は大きな目標設定でした。

この倉庫業の新規受注は、まさしく運送周辺業務(受入、組立、検査、保管、出荷etc.)を一括して受注する運送業の新しい発展の方向(3PL-サードパーティーロジスティック)を意味しています。

[図2] ムダを追放する

教訓

1、営業力は企業の競争力を高めてこそ強化される
2、「競争優位」をどこで確立するか、得意分野を特定することが重要
3、得意分野を圧倒的な競争力にまで高めてこそ経営基盤は強化される