「変動費」の改善 外注費のコストダウン

1、21世紀型外注管理​

1990年代に見られた「下請け従属型」や「系列化取引形態」から、21世紀型は相互乗り入れ型や相互補完型の取引形態が主力になると言われ徐々に変化しています。

「相互乗り入れ型」とは、お互いの得意分野を利用し合い、より強固な企業体質を目指した取引形態です。たとえば、開発能力を持ち、高度な専門技術と加工能力を備えた外注先・協力工場が注目されるようになります。

従来は、発注側が一方的に取引先を取捨選択しましたが、これからは取引先が厳しく発注側を評価し、選別することも考えられます。また、発注側の経営ノウハウや管理システムに魅力を感じ、取引メリットがあると判断すれば、優秀な取引先が集まり、21世紀に対応した相互乗り入れ型の取引形態が構築されることになります。

2、外注工場と一体で、高品質、短納期、適正価格を実現しよう

企業と外注先との関係は時代と共に変わりますが、高品質、短納期、適正価格を外注工場と一体となって追求する必要性は、いつの時代になっても変わりはありません。むしろ強くなっているという事ができます。

また外注先はその企業の鏡であるともいわれます。個々の外注先との関係はそれぞれ一様ではありませんが、発注企業と外注先が相互にその得意とするところを生かし、協力し合い、一体となって顧客満足を高める努力をすることが基本的に求められています。

それぞれの企業との取引の目的や基本方針を明確にし、それに基いてよりよい協力関係を築いていかなければなりません。

3、外注工場の管理は出来ていますか?

1)A社(機械製造会社)の事例
―外注先の「納期遅れ」に端を発して「設計の生産性向上活動」ヘ―

A社では工期を短縮して在庫を削減する活動を行っていました。その一環として外注部材の在庫を削減しようということになったのですが、一足飛びにはいかないことが分かりました。問題は外注部材の納期でした。納期確保率がなんと50%という低率でした。

これでは購入部材の在庫は膨らむ一方で削減どころではありません。よく調べてみると、発注時に納期の指示がなされていませんでした。発注側のA社に原因があったのです。

改善は“発注時に発注書に基づいて納期を明確に指示する”という自社の改善から進められました。

更に外注先の意見を聴取すると、納期遅れの原因が他にもありました。A社の設計変更が頻繁に行われるため外注工場では混乱を来たし、設計図のどれが最終的なものか分からないことさえある事が分かりました。

このようにして“外注先の納期遅れ”に端を発した活動は、発注書に基づく発注の徹底や図面管理の指導と同時に、問題の根本的解決のためにA社の設計変更のムダを減らし設計の生産性向上を図る改善に発展することになりました。