「真面目に自分と向き合う」ことは「コツコツと努力する」こと

さらに「真面目に自分と向き合う」ことは「コツコツと努力する」ことでもあります。こうした性格が、実は最も長生きできる可能性のあることがわかったのです。2011年に発表された米国の極めて貴重な研究で明らかにされました(フリードマンHS、マーティンLR、『長寿と性格 なぜ、あの人は長生きなのか』 清流出版2012年)。

それは、性格と寿命に関して行われた80年にわたる男女1.5千人余りの追跡調査研究なのです。特に80年にわたる個人の追跡調査なるものがこれまでの医学研究において存在しません。それを可能にしたのは、1921年当時10歳前後の男女1.5千人余りを抽出し、以後30年にわたって追跡調査した優れた心理学者がいたこと。さらに中断の後、その研究を引き継いだ別の心理学者がいたことです。

この研究者二代にわたる稀有な追跡調査研究から、長生きできたのは、陽気、明るい、冒険好き、社交的な人などではなかったのです。真面目で、自己コントロールができ、慎重で、努力する者こそが男女ともに最も長寿だったのです。

そう、まるで真面目に自分と向き合う修行者のような性格が、人生を長く生き抜く要因になり得たのです。

なおこの追跡調査で、男性であれ、女性であれ、生涯独身でいるより夫婦でいることがより長寿であること、妻と死別した夫の方が夫と死別した妻より死亡リスクが高まることを結論付けており、日本におけるデータと全く同じです。

さらに、同じ男性でも家事・育児をしない昔ながらの男性より、家事・育児をする男性の方が、より長生きできることも報告しています。