人手が足りない、人を入れても足りないのはナゼ?

C社は創業以来、そして現不況下の売上激減の中でも黒字を維持し、且つ自己資本比率80%を維持する優良な中堅の熱処理会社です。私への依頼のあった当時も経営は順調とのことでした(2004年2月)。

“納期(受付→出荷の工期)短縮”が最重要、社長の考えは明快でした。納期が遅れるための問い合わせに対する対応、出庫時の混乱などが多忙の大きな原因の1つだったのです。

当時、大手企業では在庫圧縮の動きが急で、しかも週ごとに生産計画を確定するという週次生産計画が導入され、部品会社に対する納期の要請がますます厳しくなっていました。又、表面処理は部品製造の最後の工程に当たるため、納期のしわ寄せがかかり緊急品も多いという事情もありました。

また、“短納期受注をいかにスムーズにこなすか(部品製造業の共通のテーマ)”が競争力の生命線でもあり、競争優位を確立するカギでもあったのです。

納期(工期)短縮に、直ぐには取組めず…

早速、納期(工期)を30%短縮する目標を設定すべく検討が始まりました。然し、初期値(現状値)を把握する段階で、直ぐには納期短縮に取り組めないことが分かりました。

・納期とはなにか
・納期の計算起点をどうするか
・工程ごとの進捗度の把握のしかた
・外注加工の納期の問題、等など

納期短縮に取り掛かる前に整理しなければならない問題が多いことが確認されたのです。

先ずは「納期管理システムの確立」から

納期は会社の総合力の指標であるといわれています。受注から加工、納品まで会社の全部門がかかわっているからです。それだけにそれに取組むにはある程度各工程の合理化が進んでいることが望ましいのです。

丁度その頃、それに先行して“納期管理のITシステム”が導入されたのですが、そのシステムを軌道に乗せるための活動を含めて「納期管理システムの確立」に取組むことになりました。

納期クレーム対策、「工程の進捗度の把握」と「事前の連絡」
 

納期遅れのクレームの原因の一つは、お客様への連絡が遅れることです。工程の進行状況を把握して、遅れそうなときには事前にお客様に連絡し調整を図ることが重要で、問題を未然に防げる場合も多いのです。

C社では、関係部門によるCFT(組織横断チーム)会議が随時開かれ、問題を処理しながら活動が進みました。

早速「工程内納期管理手順書」が作成され、それによって、製造部では1日3回、顧客要望納期と工程の進捗度を確認し納期確保の見通しを把握することになりました。

C社では、管理のルール化や規程類が大変進んでいて、上記「手順書」もいち早く作成され、その実行状況が定期的にチェックされ定着していったのは流石でした。C社では、作成したルールの実行に力点が置かれていて、日頃ルールの「確認、徹底」が強調され早期に定着することがC社の強味になっていました。“手順を間違いなく実行すること”を担当者に記名して誓約させる「納期変更手順の履修証明」の存在がそのことを如実に物語っています。

このようにして、納期管理の整備が進むと同時に、納期に関する社員の意識も高まっていきました。その間の事情はC社が定期的に行っている「顧客満足度調査」にも表れています。

納期管理の整備が一段落して、いよいよ本来の目的である「納期遅延率の改善」に取組むことになりました。

・目標は重点2種類の加工の「納期遅延率の改善30%以上」と設定され
・部門間の連携の強化と連携不良によるムダの排除
(通常、正味作業時間より連携不良や手待ちのムダのほうが大きい)
・ネック工程中心の作業改善

などが具体的に進められ納期遅れによる混乱が解消されていきました。その結果はグラフに示される通りです。

[図] 納期遅延率推移(2005年4月~)

教訓

1、納期は会社の総合力
2、
納期短縮は各工程の進捗管理から
3、
部門間の連携も改善の大きな要素

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『生産性向上はこうする』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。