第1章 実例で探る改善策

【3】B精工・生産技術開発と商品開発

1、“やれるじゃないか”社外との交流と部門間の協力

それまで出来ないと断っていた商品が、機械の使い方の少しの工夫や改良で造れるようになりました。機械メーカーからの技術者のスカウトがきっかけでした。

第2工場の製造係長と技術者が、機械部品の改良に関する研究成果を京都大学で学会発表を行いました。会社にとってそれまでは想像も出来なかった快挙でした。それは県の研究所との共同研究の成果でもありました。

こうしてB精工では、社外からの人材の補強や、大学や技術研究所との共同研究など、社外との交流が大きく実を結ぼうとしています。広く社外に視野を開き、社外の知恵を活かして壁を破る、そのようにして次の大きな発展の可能性が生まれているのです。

社内にあっても、機械工場と、製造部や第2工場、その他の関係部門が組織を横断して協力し、新たな生産技術の開発に取組むなど、技術開発の芽が膨らんでいます。新製品や新技術の開発こそが、不況の壁を破り更なる飛躍を約束してくれるのです。

2、生産技術の開発・製造部の活動2例

自動機による機械加工を行っているB精工にとって、生産性の向上を図るためには機械の改良は避けて通れない重要課題です。現場の社員が自らの機械を、どこに着眼し、どのようにして改良し、稼働率を改善していったか、二つの事例を紹介します。

(事例1)  “冶具による調整”で、装置の稼動率を一気に2倍に

ある製造グループでは、機械の改良に当たって、機械の低い稼働率に着眼しました。稼働率を下げている原因は何か。機械の停止の原因は何かが検討されました。

そして、部品供給装置の稼動率が僅か50%であることに注目したのです。当然のことながら、機械本体の稼働率はそれ以下になっていました。そこで部品供給装置の停止の原因を調べてみると、装置が高価なために、一つの装置をサイズの異なる幾つかの商品の加工にムリして多用していることが原因であると分かりました。

サイズが違うために、商品によってはスムーズに流れずに、引っかかって装置が停止するという現象でした。従って、商品のサイズごとに専用の装置をつくれば、引っかかりは解消して稼働率は一気に2倍(100%)以上になるはずでした。問題はその装置が高価なため、専用化によるコストUPは採算上認められないことにありました。

グループでは、いろいろ検討した結果、サイズを調整する冶具を作成し、商品ごとに冶具だけの交換で専用装置と同じ効果を上げることにしたのです。その結果、装置の稼働率は2倍の100%に、機械本体の稼働率も一気に大幅改善できたのでした。

(事例2) 調整時間(段取り替え)の削減

他のグループでは機械停止の主たるものは、機械の調整時間(段取り替え)であることに着眼しました。

微細な加工であるため、商品切替時の機械の調整に多くの時間がかかっていました。中には8時間かかっていることもありました。この調整時間を何とか削減できないかと考えたのです。

検討の結果、先ず調整の回数を減らすことがとりあげられ、実態が調査されました。その結果、調整作業は、商品の切替時以外にも、

・機械の基幹部品の消耗、破損による機械停止時の再調整

があることが分かりました。

当該基幹部品の寿命の改善(目標2倍以上)に取組む。

基幹部品の寿命改善は社外の協力も必要で地道な忍耐の要ることでしたが、努力の甲斐あって調整(段取り替え)による機械停止時間は大幅改善し、同時に対売上高部品費率は4年目に14.2%から4.2%(但し今年度途中経過)と大きなコストダウンにも成功することになりました。

今も更なる改善に向けて活動が続いています。

[図] 基幹部品費対売上高比率

教訓

1、“開発なくして飛躍なし”社外の知恵を活かして、技術の壁を破れ
2、“バイタル・フューを探せ”急所を押さえて大きな成果

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『生産性向上はこうする』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。