第1章  夫婦の問題

5)世界一のセックスレス夫婦

▼日本のセックスレスはごく普通のこと

セックスのない状態を一般にセックスレスと言っていますが、厳密にセックスレスとは1カ月以上セックスのないことを意味します。夫婦のセックスレスの場合、「セックスをする気がない」が大半を占めて、実際に「セックスができない」状態はそれほど多くはありません

もちろん、70代以上でもまだまだ現役であり、30代でも「セックスができない」と悩む方がおられます。要するに心身に問題がなくても、セックスレスは起こります。

日本家族計画協会は、全国の16歳から49歳の夫婦を対象にセックスレスの状況調査を2004年から2年毎に実施しています。その結果、夫婦のセックスレス割合は2004年の32パーセント以降、調査の度に増え続け、2016年には47パーセント、すなわち約半数の夫婦がセックスレスに突き進んでいるのです。

しかも、セックス回数は、既婚者でも未婚者でも、カップルの年齢が上がるにつれて明らかに減少しています。日本のあるコンドームメーカーが1万4千人の男女を対象に月平均のセックス回数を調査しています。20代の男女が月平均4・2回の頻度ですが、年代を重ねるごとに減り続け、50代男女では月平均1・4回、60代では月平均1回しかセックスしていないのです(2013年)。

結婚年数が長くなればなるほど、セックス回数が減っていくのは、万国共通なのですが、日本ほど極端ではありません。たとえば米国の例を紹介します。米国は、前述した26カ国の週1回以上のセックス頻度を比較した中(図を参照)で、最下位の日本の34パーセントに次ぐ53パーセントのセックス頻度でした。

[図] 26カ国の週1回以上のセックス頻度比較
各国16歳か18歳以上の1千人を対象に調査。2005年の41カ国調査報告と比べると、日本とギリシャの最下位、最上位は変わりませんが、中でも米国や英国では上位グループから下位グループに転落しています。
【デュレックス社「世界各国のセックス頻度と性生活満足度(26カ国)」(2006年)資料より引用しグラフ化】

確かに頻回のセックスは加齢とともに減少していますが、驚くのは、月に数回のセックス頻度だと男性なら年代を重ねるごとにむしろ増加傾向があり、20代が30パーセント台の頻度であったものが、50代で40パーセント台になります。女性なら20代でも50代でもほぼ変わらず30パーセント台の頻度を維持していることです(マイケルRT、他『セックス・イン・アメリカ はじめての実態調査』日本放送出版協会 1996年)。

さらに2017年米国の専門研究機関調査では、70代以上で以前よりセックス回数が増加していると報じています(2017年)。世界の状況がどうであれ、極めて特異的としか言いようのない日本では、夫婦のセックスが1カ月以上なかったからといっても、それはもはや世間一般のごく普通のことで誰もが深刻に考えたり、早急に改善しようとしたりしない時代になっているのです。まさにセックスが軽視されるセックス受難時代です。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『ストップthe熟年離婚』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。