第二章 聖地の風に吹かれて

初めての観光スポット

門を抜けると、ストゥーパに通じる気の遠くなるような階段が現れた。優に三〇〇段は超えるだろう。この階段を上らなければ、憧れのストゥーパに辿り着けないのか。これからが本当の試練の道なのだ。ここに来て初めて、周りの人々がタクシーを利用して到着している理由がわかった。

つらい階段の両脇には、多くの野生のサル。これが、ガイドブックに書かれていた恐怖のサル軍団か。買い物袋のシャカシャカという音を聞くと飛びかかって襲われるという情報を思い出し、ひたすらサルと目を合わせないよう、私たちとしては珍しく静かに上った。

急な傾斜のため、すぐに足に疲れがくる。休まず一直線に上っていたが、ついに息が切れ、立ち止まった。疲れて何も言えず、ぼーっと立ち尽くしていると、急に後ろから呼び止められた。なんと、入場料の催促であった。

あまりに疲れ、足元ばかり見ていた私たちは気づかなかったのだ。言われるがまま、五〇ルピーを払ってさらに上ると、一〇段ほどで終わった。長くて険しい階段を上り切って、本物のストゥーパの前に立ったときは、もう言葉にならなかった。

青空にくっきりと浮かび上がる白いドームから、黄金に輝く光と影が織りなす横縞模様の塔が天に向かってそびえている。いぶされたような渋い黄金の輝きは、長い歴史を感じさせる。よく見ると、黄金の上にくっきりと描かれたブッダの目は、白と黒以外に赤・青・黄の三原色も使われていた。しかも、目だけではなく眉もある。

鼻の位置に描かれている「?」はネパール数字の「一」で、あらゆる生命の統一を表しているものだ。塔頂からはタルチョという五色の旗が張られ、ときおり吹く風に揺らめいている。独特な世界観に目も心も奪われ、立ち尽くした。

ストゥーパの構造は、台座が瞑想、白いドームは煩悩から解放された無の境地、塔は涅槃(ねはん)に至るまでの一三の段階を示しているという。一体誰がこのようなデザインを思い付いたのだろう。摩訶不思議とはこのことか。

摩訶はサンスクリット語mahaに由来し、「大いなる」「非常に」「優れた」といった意味を持つという。つまり、摩訶不思議とは、人知を超えた素晴らしさである。ストゥーパを見た私の脳裏をよぎった言葉は、偶然にも仏教とつながっていた。