第一章 ネパールの大地へ

タメル地区へ到着

旅行代理店はそう遠くはなかった。旧イミグレーション・オフィスというだけあって、大きく立派な建物である。旅行代理店のオフィスにはたくさんの人がいて、次々と電話が入ってくる。

とりあえず到着の報告だけにし、足早に出ようとすると、「大晦日のナガルコット一泊ツアーがとれそうだから、また連絡するよ」と言ってくださった。二〇世紀から二一世紀にかけてヒマラヤを望む地で過ごせるなんて夢のようだ。

「ありがとうございます!」

オフィスを出て、初めての食事をすることにした。近くにちょうどネパール料理のレストランを見つけた。こぢんまりとした店舗で、入りやすそうな雰囲気だったので、迷わず決めた。

初のネパール料理はダルバート。ネパールを代表する家庭料理だ。ダルは豆のスープ、バートは白いご飯のこと。典型的なダルバートには、この二つ以外に、野菜のおかずのタルカリ、肉や魚のカレー、薬味・漬物のアチャール、青菜の炒め物のサーグなどが付き、日本でいう定食のようなものである。

私たちが食べたダルバートは、大きなアルミ製の皿に、白いご飯がお子様ランチのように型抜きされ、その横にジョール(汁)タイプのタルカリ、ほうれん草のサーグがいっしょに盛られていた。

タルカリは、まるで野菜のスープカレーのようにさらさらしており、トマト、玉葱、ジャガイモなどがいろいろなスパイスで煮込んである。硬めのご飯に混ぜて食べると、食感のバランスが絶妙で、日本のカレーライスとは違い、ずっと優しい味だった。

ダルは、青臭い味のスープかと思っていたが、日本の小豆に似たような味で驚いた。小豆ではない豆に見えたが、小豆も入っていたのかもしれない。二種類の副菜が入る皿には、ペースト状の副菜と野菜の漬物のようなアチャールが入っていた。