第一章「人生100年時代」の 到来

(1)「人生100年時代」を楽しむヒント

これからの時代、特に考えなければならないのは高齢期に入ってからの生き方だろう。人生の折り返し地点というか、現役を外れた後の生き方と言った方がわかりやすいかもしれない。

こうした考え方は古今東西、様々なところで注目されてきた。そればかりではない。今日、さらにはこれからもますます目が離せないということは言うまでもない。そして、それらを深く分析する中から、「人生100年時代」に向けて、我々が進むべきヒントを見出すことができると考えている。

今回、「古代ローマ時代」「仏教の教え」「台湾のセカンドライフ」の3つの視点から、人生100年時代を楽しむヒントについて考えてみた。

結論から言うと、それぞれの視点から浮かび上がるキーワードは、「プライド」「受容のあり方」「創意工夫」である。

つまり、「老年となることにプライドを持つこと(=老年に対する誤解を取り除くこと)」「老いを素直に受け入れ、そこからさらに新しい老いのあり方を学ぶこと」、そして「老年期をより充実したものにするための創意工夫」ということである。

●古代ローマ時代からの学び

そもそも老年問題は2000年以上も昔からクローズアップされていたというから驚きである。

古代ローマ時代も「老年は惨めなもの」とする見方が大勢を占めていたといわれている。しかし、それは大きな誤解であり、逆にそれをいかに取り除くかということについて、古代ローマ時代の哲学者キケローは著書『老年について』をあらわした。その主な内容・感想は「第三章 実践編」に記載したので確認いただきたい。