はじめに――「知的で素敵なシニアライフ」に向けて――

「読書が苦手な人、集まれ!」

「定年後の寂しさを感じている方へ、読書の楽しさを提案します!」

そんなコンセプトのもと、今回『人生100年を楽しむために ワクワクリベンジ読書のすすめ』を編んだ。

そもそも私は読書が大の苦手だった。子どもの頃は夏休みの宿題以外ほとんど本を手にすることはなかった。勤めてからも読むのはせいぜい仕事関係のビジネス本。ほんの一時期、三島由紀夫や夏目漱石に興味を持ったことがあったものの、長続きはせず。

とにかく読書とは縁遠いところにいた。「人生100年時代」を間近に控えた今日、定年後の過ごし方はある意味、人生における一大イベントである。

私の話で恐縮だが、社会人時代のつながりは結局「名刺と役職」の力によるもの。会社に行けば部下がいたし同僚もいた。そしてお取引先の方々も周りに数多くおられた。しかし、定年直前に退職し、一歩会社を離れたら、一気にそのつながりは消えてなくなってしまった。

そこで初めて実感する「寂しさ」や「虚しさ」そして「一体自分はこれからどうなるのだろうか」という将来に対する一抹の不安。小心者の私は、とにかく右往左往するばかりであった。

そんな私を支えてくれたのが、これまで疎遠にしていた読書だった。正直言って「溺れる者は藁をもつかむ」という心境。ひとすじの光が照らされた思いだった。

本を読めば読むほど、新しい知見を深めることができる。心が安定する。さらにはこれからの人生に大きな希望を持てるようになる。

読書は、将来への不安に恐れおののいていた私に「智慧と勇気」を与えてくれた。そのおかげで、今日まで自己肯定感を抱きながら、読書を通じて第二の人生を楽しむことができているように思う。

この本は、私の実体験、これまでの紆余曲折の読書ライフをもとに構成されている。したがって、読書経験の長い方、すでに読書を趣味とされている方にとっては「何をいまさら」と感じられるかもしれない。

そういう方には、この本は不向きであるが、もしかすると読書を見直すきっかけになる可能性もあるように思う。

「そもそも読書は苦手だが、定年を迎えて何もすることがない。仕方がない。読書でもするか」とお考えの方はぜひこの本を参考にしてほしい。少なくとも人生の後半戦に向けての「精神安定剤」くらいにはなると思う。