2 そして二軒目……

「お義兄さん?」

「なんだ」

「今回の火事は、放火で間違いはないの?」

「ああ、十中八九な」

「どうして?」

「出火場所近くからライターが見つかった。家の外から投げ込まれたらしい」

遅かれ早かれニュースでも知れることだと思ったのか、啓介も素直に答えてくれた。出火場所は、櫻井家側のほうからだという。特にその近辺は焼け方がひどい。つまり、犯人は表通り側でなく、櫻井家のあった更地側からライターを投げ入れたことになる。

「それで、その犯人を見たっていう目撃者はでていないの?」

あずみは聞いた。

「だから、それを今、聞き込みしている最中だ」

警察としても、今の段階で外部にもらしてもいい情報などないのだろう。

「おい。もういいだろう? お前たちもそろそろ学校に行く時間じゃないのか?」

啓介はそろそろ扱いが面倒になってきたのか、早口になって言った。

「学校は九時からですので、まだ大丈夫です」

「ん? お前たち、電車でここまで来たんじゃないのか?」

「櫻井財閥のお嬢様がマイカーをお持ちなの」

「ああ、そうか」

「ここから車でなら学校まで楽勝だし、まだ間に合います」

「とにかく、気を付けて帰るんだぞ。早めに退散しろよ」

「はぁい」

啓介は、先ほど立ち番をしていた警官のところまで戻って行った。一応聞き込みは終わったので、また元の場所で見張りをしておいてほしいと頼むつもりだろう。あずみたちは先ほどの警官が戻ってくる前に、素直にそこを退散した。