俳句・短歌 俳句 コンテスト大賞作品 2024.01.12 句集『バーの二階で』より三句 バーの二階で 【第4回】 田中 龍太 幻冬舎グループ主催 『短歌・俳句コンテスト』大賞受賞作品 日本の四季を彩った、“今”を表現する一冊 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 コロナ禍以降、読書を楽しむ機会が増えた人も多いのではないでしょうか? 本書は、その間に編まれた句集です。※本記事は、田中龍太氏の書籍『バーの二階で』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 春の景 つばくらめ 銀のトレイの 照り返し メサイアを 聴かず仕舞ひや 花ミモザ 桜餅 顎を引くやう 指図され 【前回の記事を読む】句集『バーの二階で』より三句
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『ヒスイ継承』 【新連載】 守門 和夫 発明好きなおじいちゃん。いつも失敗してるけど今回はなにやらいつもとは違っていて…!? 秋が深まり、イチョウの葉が輝くような黄色になった、ある土曜日の朝のことだ。川越市のカルガモ小学校三年生の星野波奈(ほしのはな)は、電話の呼び出し音で目が覚めた。時計を見ると、まだ六時になっていない。だれも出ない。しかたないので一階に下りて、居間の電話の受話器を取り上げた。「波奈、すごいよ! 眠っているうちに、本が読めてしまう装置を発明したよ」「ほんと?」「今すぐ、そっちへ行くよ」波奈が返事をしな…