第一部 認知症になった母の人生

第2章 認知症と共に生きる人生が始まる

少子社会における親の介護を検討する

これらのことから推察できることは

①そもそもいったん別居した家族と同居する可能性が相対的に低くなっている

②お母さんと子夫婦(我が家では娘夫婦)の同居は少ない

③またその割合も減っている

我が家はこのトレンドとは様相を異にしています。いずれにしても、少子化が進む中、親の介護、特に一人っ子や女性だけの姉妹家族における老親介護についてどのように考えるかを検討する必要がありそうです。

もちろん、これは同居の推奨ではありません。しかし、現実的には困難のある、女性配偶者の親との同居についてその配偶者が希望した場合どのような手当が必要かは検討すべきかもしれません。

認知症の確信と介護保険の申請と認定

前章で述べましたが、2012年に認知症の症状が明確に分かり(家族が受け入れ)ました。これを受けて、介護保険注1 を申請し、要支援1の認定を受けています。

この後、地域包括支援センター注2 で相談をすることになりますが「たいしたことはない」とのことでサービスには結びつきませんでした。今でこそこの状態での支援が大切であることが繰り返し伝えられますが、このときはまだまだという感じでした。

ここまでを少し図式化しておきましょう。MCI(健常と認知症の中間。詳細は後で述べる)と思われる2007年の状態から急速に進行しています。

 

2012年に明確な認知症と思われる症状が現れた後は、妻(娘)が、通い介護を始めます。私たちの自宅から母の家までは、いくつかの電車を乗り継いで約2時間かかります。妻は週2回、これを同居介護が始まるまで続けていました。

認知症の症状が進んだころには、通いではなく宿泊介護に切り替えていました。前々から私は自分の趣味も兼ねて、私たち夫婦と母との旅行を楽しんでいました。

認知症になった後もそれは続けていましたが、認知症が進行すると、場所が分からなくなることから、混乱も随分増えました。

第2章「認知症と共に生きる人生が始まる」のまとめ

ここでは、国立社会保障・人口問題研究所の全国家庭動向調査から親と子どもの同居について、分析をしました。この中では妻の母親との同居割合は、確実に低下していて、2018年の第6回調査では10.5%であった。子どものとの同居は難しい状況にあります。

2012年には状態も進み、介護保険の申請をし、要支援の認定を受けました。要介護1の状態以降は、妻の通い介護または宿泊を伴う介護が始まりました。