◉コミュニケーション

基本スタンスを押さえた上で、具体的なコミュニケーションのヒントをお伝えします。夫婦といっても赤の他人。自分には自分の、パートナーにはパートナーの世界観があります。それぞれが持っている世界観の中で、いかに気持ちよく会話が出来るかがポイントです。

しかし、身近な存在だけに、コミュニケーションは疎かになりがちです。だからこそ、本書を機に、出来ているかどうかを見直してみましょう。ここで重要な要素を4つあげています。

1 共感力と感謝

2 依頼と断り方

3 伝えるシーン

4 夜の夫婦コミュニケーション

夫婦のコミュニケーションの善し悪しは、家庭生活、人生そのものにダイレクトに影響します。最近会話が雑になっているなと感じている人は、ご自身の言動をセルフチェックしてみて下さいね。

①共倒れを防げ! 「同情」せず「共感」する

夫婦間のコミュニケーションで最も大切かつ、最もパパが難しいこと。それは「共感」ではないでしょうか。何を隠そう僕自身、この共感が苦手でたまりませんでした。

個人的な意見ですが、パパがしっかり共感出来れば、離婚に発展するケースは激減するのではないでしょうか。それくらいインパクトが大きい行動が共感です。ここでは「共感」を、似た言葉の「同情」と比較して、みていきましょう。

広辞苑では同情と共感を次のように説明しています。

「同情(Sympathy)」─他人の感情、特に苦悩・不幸などをその身になって共に感じること。

「共感(Empathy)」─他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。

つまり、同情は相手と同じ気持ちになること→相手が辛ければ、自分も辛い気持ちになる

共感は相手の気持ちを理解すること→相手が辛くても、自分は辛い気持ちにならず、相手が辛い状態になってることを理解するということです。

この違いはとても重要です。女性は男性に自分の気持ちを理解して欲しい、つまり共感して欲しいと願っています。しかし、かつての僕のように自分にとって理解出来ないことは、共感しようと思わなかったりします。

そうなると、ママは辛い気持ちになります。仮に、一歩踏み込んで、相手に寄り添おうと思った時、男性は自分も同じ気持ちになるべきだと誤解し、同情することを求められると履き違えてしまいます。

 


1) Nan Silver; Gottman, John (1994). Why marriages succeed or fail: what you can learn from the breakthrough research to make your marriage last. New York: Simon & Schuster. ISBN 0-671-86748-2.