『変化するコミュニティ』

ネガティブに妄想が膨らむが、とりあえずこれは危ない。逃げ出すしかない。

「い、いえ、その……」

と、思ったのだが、口と足が思ったように動いてくれなかった。

「いいよ、分かってる。隠そうとしなくても、事実あれが物語ってるしな」

そんな俺の心情を探ろうともしない院さんは、自分が座っている位置から真後ろにある病院に頬を緩ませながら親指を立てた。

その指の先には部分的に損傷した病院があり、以前俺が憑依生命体と闘った時に出来た被害が今もなお残っていた。ルナ姉の台詞が合っているのなら、あの事件から丸々一晩が経ち、それでも建物の修復具合はそれなりといったところだ。

改めて一望して規模の大きさに驚く。 

そこで関与した形跡が、自らの深層心理に響く。

「そんな驚く? 少なくとも一昨日見たんだ。でな、単刀直入に言うと、オレはおまえのその力に興味があって……」

俺の絶望的な表情を見て少々内心を察してくれたが、それがスタイルなのかまた話を進める。

そんな彼の姿にこれまで以上の身の危険を覚え、遂に無理やり話を打ち止めようとする。

「い、いえ! その、俺、何も知らないので! 難しい話とか全然分かんないんで……!」

「うん。だから今日は情報を提供しに来た。大丈夫、おまえに危害を加えようなんて考えてない」

「……そ、そうですか」

断ろうとする態度を予想していたように、動揺もせずに軽く受け流した。

その瞬間、もうこの場から逃げ出すことは不可能に近いと推測した。

大人しく話だけでも聞こうか。

「確かに初対面で怪しいことを言うから信じてもらえないかもしれないけど、今のところ、一つだけ信じて欲しい」

「……」

「昨日、SPHが人間の身でありながら憑依生命体と互角以上に闘ったおまえを見て、お前を追ってくるかもしれないって事。これだけは覚えておいて」