漢方古典からの学びと、その応用法

温故知新といいますが、古典には現代の治療家にも参考になる記述が多くあります。

その一部を挙げてみます。

素問 第34逆調論

胃経が逆流すると胃熱が生じて口内炎や蓄膿症になり、治療は脾経の補法と胃経や大腸経の瀉法がよい、とあります。又、腎の水毒は水太りになり、治療は、肺経の尺沢、腎経の陰谷と復溜の補法がよい、とあります。

前者は、現代でも即治療法として通用します。後者は、水毒解消の一部として通用します。水毒解消の一部としたのは、水毒には、下腹部や鼠径部に必発する肝経由来のものや、足首に必発する心経由来のものや膝裏に必発する脾経由来のものもあり、顔面に必発する腎経由来のものの他の水毒解消には、それぞれの経絡ごとの治療法が必要となるからです。

第39挙痛論

腹痛便秘には、冷えがあり、それを解消するために熱が産生されその熱によって水分が吸収されて大便が乾燥して便秘になり、治療は、心包経と脾経の補法がよい、とあります。腹痛が強い場合には公孫、便秘が強い場合には大都がよいとも記載されており、そのまま応用できます。

霊枢 第28 口問 ・あくびが多くでる理由とその治療

昼間あくびが出る人は、陽気の不足と肺経の虚だから、陽経と肺経の補法をする。食後にあくびをする人は、胃の陽気不足だから、脾経と胃経の補法をする。

シャックリは、胃が冷えていて精気の上昇が妨げられているから脾経と胃経の補法に加えて、肺経の補法もする。

・ いびきは、陰気が盛んで陽気が抑圧されていびきとなって出るのが原因なのだから、腎経の瀉法と膀胱経の補法をする。

ゲップは、冷えている胃が、冷気を追い出そうとしているもので脾経と胃経の補法をするとよい。

特に、ゲップの原因とその治療法に関しては、その理論と治療効果に感心してしまいます。