月経障害ほか、婦人科系疾患

1 概要

月経障害には、周期異常・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫などがあり、排卵日前後や月経前・月経中に、下腹部痛や頭痛・吐き気を伴う不定愁訴により、日常生活に支障をきたすこともあります。

腰痛治療と並んで鍼灸師が多く扱う疾患で、治療期間が長期化することもあり、患者さんとの信頼関係が大切になる施療です。その種類により、症状や原因も異なりますので、東洋医学的見地から見た私の見解を略述した後、個別の疾患への対応を説明します。

2 分類

東洋医学的には、月経障害ほか婦人科系疾患の原因・誘因は、冷えと瘀血(おけつ)と、捻れにあると考えられます。関係する経絡は、肝経・胃経・腎経・膀胱経・三焦経・肺経・大腸経・任脈・督脈です。

 

肝経・腎経・胃経は、卵巣・子宮・卵管にそれぞれ関係します。

膀胱経・三焦経・任脈・督脈は、ホルモン中枢に関係します。

肺経・大腸経は、粘膜に関係します。

 

3 月経周期異常

・月経周期異常の原因は、卵巣ホルモンアンバランス又は、ホルモン中枢の異常が考えられます。また、器質的・機能的疾患とともに、精神的ストレスによる影響も考える必要があります。

 

・診断法 

新経絡治療での経絡特徴としては、右心虚や膀胱虚や腎虚が見られます。

良導絡測定値では、膀胱経や肝経の左右差が大きくなります。

内分泌ホルモンバランスと自律神経とは、相互に影響しあっていますので、自律神経失調症の有無も考慮する必要があります。

 

・施術手順

虚証経絡があれば、その経絡の井穴に、パイオネックス0・3ミリ(以下虚証の鍼という)を貼付します。

 

全身の自律神経調整として、背部兪穴へのV字鍼単刺と、肝兪・脾兪・三焦兪・腎兪・次髎兪への施灸をします。

 

ストレス寛解を目的として、ネーブル点・膏肓(こうこう)・築賓への施灸をします。脳下垂体への血流改善を目的として、「イヒコン」に置鍼して崑崙(こんろん)雀啄と、陰陵泉に置鍼して肩井単刺をします。