【前回の記事を読む】「自分の体質に合った方法を」鍼灸師が治療家へ送る、東洋医学的アドバイス

第2章 東洋医学的施術法によるアプローチ方法

骨格系の歪みの改善法

姿勢性の骨格系矯正は、体操やヨガや太極拳や真向法(まっこうほう)などの自矯法だけでも相応に矯正できます。但し、無理に、急激に矯正しようとしない事が大切です。年齢や体質(体が硬いか柔らかいか)や季節や時間帯に応じた方法を考える事です。

筋肉や靱帯の疲労が原因の歪みに対しては、指圧や整体やマッサージなどの手技による患部周辺の血行促進で、疲労物質や老廃物を還流させ、除去する事で、歪み改善が期待できます。

内臓疾患を原因とする骨格系の歪みを矯正するには、この内臓疾患を治癒させる事が必要です。臨床上、骨格系の歪みを生じさせる疾患として、多くあるのは、肝臓疾患や胃疾患や膵臓疾患や生殖器疾患や呼吸器疾患です。

それぞれの疾患で、最初のうちは背部諸筋の凝りとして自覚されていたものが、実は、内臓疾患のヘッド氏帯反射としての硬結である場合が多いのです。

骨格系の歪みの極限状態として、頭蓋骨の変形を考えることができます。

頭蓋骨など動く筈がなく、従ってその変形などありえようもない、と思う方は、コペルニクス的発想転換をして下さい。

頭蓋骨も歪み、変形します。頭蓋骨は幾つもの骨の集合体です。一対の頭頂骨と側頭骨、前頭骨と後頭骨、鼻骨、頬骨、蝶形骨、上顎骨や下顎骨等の骨が、冠状縫合やラムダ縫合や蝶頭骨縫合や前頭鼻骨縫合や頬骨上顎縫合や上顎間縫合等によって連結された集合体なのです。

我々の頭蓋骨は、誕生後、脳や下垂体の成長に伴い、膨張します。各縫合部分に自在性がなければ、頭蓋骨の膨張は不可能です。縫合部分の自在性とは可動性を意味します。つまり、骨は動きうるのです。

もちろん、骨が勝手に動き回るのでは、ありません。頭蓋の諸骨は、頭蓋諸筋と連動しています。この頭蓋諸筋に何らかの原因で、硬結や攣縮が起きた場合に頭蓋骨は変形します。この原因の多くは、顎関節症によるものですが、中には、眼精疲労によるものや、扁桃の病変によるものもあります。

これらの原因疾患を改善させることにより、頭蓋骨は、元々の形に戻ります。

但し、頭部瘀血(おけつ)が原因での頭蓋骨変形もあるので、注意が必要です。頭部瘀血(おけつ)の原因がどこにあるのかを精査してからの治療が大切です。