二 はじめに

前作『ぎんちゃんの生きとし生けるものとの対話』では、都会の農園でのぎんちゃん(いぶしぎんじ)と生き物たちとの対話を中心に書きました。

その対話の中で、生き物たちの「()()くくなったよ。人間は邪魔しないでおくれ」という嘆きを聞きながら、共生してゆくことが大事と悟り、生き物たちと一緒に都会から田舎の自然の中に夜逃げします。そして、新しい自然の中で、命を繋いでゆくお話です。

農園の周りに棲むカラス、黒猫、カマキリ、蟻あり、コガネ蜘蛛、アマガエル、ヒヨドリ、蝶、(きじ)、蛇、芋虫、蚊などの多くの生き物との対話では、対等の立場で生き物たちとの理解を深めていきます。

そして、生き物たちは、移住先の自然豊かな里山に満足してくれたところで話を終えています

今回の作品は、この里山を舞台に新たな生き物たちとの出会いがあり、それも様々な事情を抱えた生き物たちの生き様に、ぎんちゃんも困惑する波乱万丈の生活が始まります。

ぎんちゃんも、生きる上での悩みを抱えており、長い間自問自答を繰り返す日々でした。そして、この移住をきっかけに、新たな生き物たちとの対話から、生きることの本質を見出していきます。互いに生きる上での理不尽なことを共有しながら、時には意見が合わないで離合しながら、里山生活を充足させてゆきます。

このお話の中で、ぎんちゃんの自問自答の悩みをオープンにして、人間側の生き方を模索してみました。その理由は、生き物たちの棲み難さの嘆きを聞きながら、人間も同じく生き辛さが何なのかを考えてみたくなったからです。

生き物を含んで人間も生き辛くなったことが共有できれば、その先には生態系の保全という地球環境の再生に繋がる行動があるのではないかと考えたからです。