倉敷市内篇

大原美術館の特別展

2006年7月16日(日)

午前中は作業着を着て庭の草取り、汗だらけになりシャワーをさっと浴びると気分爽快。午後からは、お出かけ。市立美術館の「春の院展」を見て、大原美術館の特別展「インパクト東と西の近現代―もう一つの大原美術館」へも足を伸ばしました。

まず道順の近い分館のほうへ。大原家の庭園、「新渓園」の一角にある分館、新渓園の木々と、ムーア作「横たわる母子」像などのある前庭の芝生の緑がきれいでした。分館のほうは、「◎虎次郎ドイツへのまなざし」と言うテーマの、児島虎次郎とドイツのかかわり関係、「◎日本人の裸婦」では、日本髪の少女の裸婦像、それから岡山県出身の画家、満谷国四郎の赤い毛氈に数人の白い裸婦の絵、藤田嗣治の白い裸婦像。

また、地下の展示室には、「◎21世紀の大原美術館」として、現代アートの数々。新渓園のお庭伝いに本館のほうへ向かいます。

美術館の中庭には、フランスのモネの庭から移植されたという睡蓮の株も当初よりだいぶ増えてきて、ピンクと黄色の花が咲いていました。観光客が盛んに写真に収めていました。

大原美術館本館では、ギリシャ神殿風の正面入り口に特別展の大きな一対の垂れ幕が掲げてありました。入ると、児島虎次郎の中国の風景を描いた屏風絵4点と、奈良公園を描いた、横長の長い長い風景画、それに大阪の大原家別邸にかつて飾ってあったという巨大な絵、それに、この美術館最大で、美術館の建物の幅のサイズを決める元になったというフレデリックの「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らせしめん」という絵が高いところに掲げられています。

昔私が学校の遠足で来た時に本館2階の中央にあったエル・グレコ(1541〜1614)の「受胎告知」は、児島虎次郎が収集したほかの絵画とは時代が違うためか別格扱いになっていて、増築された部分に紺色の壁面に目立つような展示の仕方になっています。大原美術館のいわば看板の代表的な絵画だからでしょう。

また、テーマに沿わない絵をはずされたのか、壁に絵の形に焼けたような跡が残っていました。見学を終えて出ると、地元の県立天城(あまぎ)高校の女の子がおずおずと「アンケートに協力お願いできますか」と寄って来ました。

「市内ですけど、いいですか?」と聞いてから応じると、「何度目か」「どの絵が好きか」などのアンケートでした。

私が答えた好きな絵は、スイスの画家、セガンティーニの「アルプスの真昼」と、同じくホドラーの「きこり」の絵です。明暗や輪郭のくっきりした分かりやすい絵で、羊飼いの少女だったり木こりだったり、どことなく生活感があるからかもしれません。

建物内は快適にエアコンが効いていましたが、一歩出てみると、それはそれは蒸し暑く、観光川舟が見た目だけでも涼しげに運行されていました。土産物屋の店先の風鈴が澄んだ音色で一斉に鳴ると、そこだけは涼しげです。

川べりには昔、川から荷物を運びあげた石段があります。その脇に腰を下ろしていたカップルは涼しいんだか熱いんだか……。