【前回の記事を読む】「えええ~~、やめてほしい」医者が驚嘆した“乳がん患者の願い”

第1章 左乳房 ~33歳、乳がんになりました~

おっぱいが二つある意味

長男「直太朗」の授乳時には溢れるほど出た母乳である。助産師さんが出産後すぐに分娩台の上で身体を清拭してくれた。おっぱいも丁寧に拭いてくれた。「乳腺が開くよ」とギュッギュッとマッサージのように拭くと、「あっ、一つ開いた」ギュッギュッ。

「あっ、二つ、三つ……ほらね」と両方のおっぱいの乳腺を開いてくれた。

初めてのことで嬉しくもあり不思議な気持ちになった。

次男「真司」の出産時には分娩台で拭くということはなかった。真司は黄疸が強く保育器に入ったため、母乳は病室で絞り運んで飲ませた。退院後にやっと自宅で授乳を開始した。母乳は吸われるとドンドン出るようになる。

「片乳でどこまでいけるのか?」とチャレンジする気持ちで授乳をした。

しかし、おっぱいが一つと二つでは、明らかに違いを感じることがあった。赤ちゃんがおっぱいに吸いつきゴクゴク飲むと、もう片方のおっぱいがビビーンと張ってくる。でも、一つのおっぱいではその張りを感じることができない。

その時に「おっぱいが二つある意味」が分かった。おっぱいは二つあるから、母乳が相乗効果のようにドンドン出てくるのだ。おっぱいが張らないと、赤ちゃんが飲む量には追いつかない。

「母乳が足りない」

「大丈夫! ミルクがある!」迷わず混合ミルク育児のスタート。

真司は混合で大きく育った。

おっぱいは二つあるから赤ちゃんの吸いつきによる相乗効果で十分な授乳量に達して、おっぱいの本来の役割が果たせるのだ。

おっぱいが二つあるのは当たり前のこと。しかし、なくなったからこそおっぱいが二つある意味に気がついた。

人間の身体はバランスが大事。目・耳・腕に足など二つで一つのものが多い。右左のどちらもそれぞれにちゃんと役割があり、どちらか一方を失うと歪みも現れる。

ないと思うと人は補うために知恵を出す。歪みを治すための「整体通い」は今もずっと続いている。

前にも書いたが整骨院のK先生には、術後の痛いリハビリは一切やらず左腕が全く上がらなかったが傷口にも指一本触れることなく、あっという間に腕は上がるようになった。その後も職業病の腰痛やギックリ腰は何度となく繰り返したが、その度に受診すると瞬時に治してくれるゴッドハンドだ。

改めて整骨院のK先生、ありがとうございます。

今では「変形性膝関節症」でお世話になっていて、まだまだこれからも長いお付き合いとなること間違いなし。どうかひとつよろしくお願いします。