【前回の記事を読む】乳がんで左胸がなくなった。ある日、温泉で子どもの目にとまり…

第1章 左乳房 ~33歳、乳がんになりました~

温泉に入るコツ

実は義母も同じ病気を患っていた。病気は、なった人にしか分からないことがあるので、色々と理解をしてもらえた。

術後に二人で温泉に行くことがあり湯舟でお互いの傷を見せ合い話をした。義母の傷跡は色も薄くなり月日がたったことが分かる。私はまだまだ赤みが残り痛々しいものであった。そして義母は縦の線。私は横の線(替え歌ができそうだ)。

湯船では会話が弾む。

「これは担当医が術前の説明で『まだ若いからね。ドレスが着れるように横に切るよ』と配慮をしてくれたんです」

「そうなの、良かったね」

ホントに感謝である。おかげ様で水着でも何でも気にしないで着ることができた。温泉は気持ちが解放されるので、湯舟の中でお互いの傷を見て「色々だね」と話をした。

義母は辛くてしばらく泣いていたことや当時の家族の様子も話してくれた。優しくて料理上手な専業主婦だったが、二人の子どもを残し出雲から東京に出てきて納得のいく検査を受けた義母だった。

ただ、二人の縦と横の傷跡は同じくらい長かった。