【前回の記事を読む】戦後、日本は本来の国柄を損なっていた?今だからこそ求められる外交関係

第一章 結論(日米関係と今後の中国)

今後の中国

歴代の中華王朝が採用してきた法治主義(人の本性は悪であり法によって縛っておかなければならない)は、中国大陸を統治する上で必要不可欠の理念であり、今後も変わらない方策であろう。

中国は、清帝国時代から欧米諸国が押し付けてきた欧米流の万国公法やイデオロギーには決して染まらずに、独自のやり方や生き方、すなわちかつての華夷秩序の世界を取り戻そうとしている。これは、かつて日本が中華思想に染まらずに独自の道を進んできたことにも通じる。

欧米文明が見落としてきた、あるいは振い落としてきた、またはそれに馴染めない国家や民族、さらには法則などを拾い集めて、新たな文明圏(普遍性)を構築しようとしているとみえる。それは華夷秩序システムの再興とも考えられる。

これはかつて、欧米列強によって国土を踏みにじられても何ら対策のとれなかった政府への不満と欧米文明への反発を爆発させた中国農民たちの反乱にも似ている。

まさに一九〇〇年に起こった「義和団の乱」(民衆の反乱に端を発するレコンキスタ〔国土回復運動〕)が自由民主主義の堕落に伴う行き過ぎたグローバリズムや多様性や自由民主主義の押し付けによって乱された現代中国社会に勃発したといえよう。

自由の行き過ぎが放縦となって生きづらい世になってきていることを示しているともいえよう。