第1章 人生の座標軸としての自分軸

1 自分軸の前提

自分軸を考える場合、その「前提」が適切なものでなければなりません。そこでここでは自分軸の適切な前提として重要な「因果律」「真我」「死生観」「価値観」「成功・成長」「個性」について説明しています。

(1)人生というドラマを織りなす経糸(たていと)緯糸(よこいと)としての根本法則

サキ:人生を豊かに幸せに生きる上で知っておくべき人生というドラマを織りなす「経糸(縦軸)と緯糸(横軸)としての法則」が存在しますか。

コウキ:はい、あります。自分軸に基づいて幸せな人生を送る場合、その前提としてまず人生というドラマを織りなす経糸と緯糸としての根本法則を明確に自覚し活用することが大切です。

ここでの人生と世界の真相としての究極の世界観は、すべてのものは関係主義的な世界観に基づきお互いに果てしなく重層的かつ時間的・空間的に密接に関係し(つな)がっており、①全体としては客観的な存在法則としての縁起(えんぎ)の法注1によっており、②個別的には主体的な行為法則としての因果(いんが)応報(おうほう)の法則(「因果律(いんがりつ)」)によって遂行されているという考え方です。


注1:縁起の法も因果律も東洋思想の中心的な思考の1つです。「縁起」とは因縁(いんねん)生起(しょうき)を略したもので、「存在と関係との関係」について一般的な「存在が種々の関係を創り出す」(「存在→関係」)という考え方ではなく、反対に種々の「関係が存在を生じさせ、変化させる」(「関係→存在」)と観るものです。

この場合、すべての存在は別個独立して存在するのではなく、重層的に密接に関連し時間的・空間的に繋がっています(相依相関性)。

これはこの世の中に固定的で絶対的な存在(実体)はなく、関係性だけが存在し、相対的な関係として存在すると考えます。

また、縁起の法と因果律との関係は、「縁起の法」は時間と空間の双方に関連するあらゆるものに関わる相依関係性を示す広い法則であるのに対して、「因果律」は主に時間的な縁起に関連して、一般に特定の主体に対する時間的な因果関係(例えば、春に朝顔の種を蒔く[因]と夏に朝顔の花が咲く[果]というように)についての法則です。