②「思力」

二つ目のポイントは「思力」。これも「しりょく」と読みましょう。

眼や耳から直接的に入ってこない情報、状況に思いを馳せ、考えを巡らせる力です。推察力、洞察力といった「心を読む」、心の力ですね。「思う」という漢字を使って「思力」と名づけました。例えば、こんな観点です。

・今日は機嫌が悪いなぁ(良いなぁ)、何かあったかな?

・この人にとって一番大切なことって何だろう?

・この人にとってイマこの話は果たして必要だろうか?

・今日は飲みに行きたい気分なのかな?

・二杯目もビールで良さそうかな?

・奥様には何を差し上げれば喜ばれるかな?

「共感Level2」でも触れましたが、何も「ご機嫌取り」をすることを推奨しているわけではありません。でも、せっかく一緒に過ごすなら、せっかく一緒にお仕事をするなら、お互い心地良く、余計な軋轢や、心のざわつきがない方が良いに決まっています。

ここでいう「視力」と「思力」をベースにした「目配り」「気配り」「心配り」といわれる「配慮の三原則」は、双方にとって大切なマインドです。そして、今触れた二つのポイント。

「視力」と「思力」を働かせるだけでも、その効果は絶大だと想像できます。次のような動きになりませんか?

ある法人のお客様のところへ新年のご挨拶に伺いました。応接室に通されて、社長をお待ちしていると、ふと、見慣れない油絵が飾ってあることに気づきました。

→一つ目のチカラ「視力」「何だ、この絵は? 前はなかったような……。社長、絵が好きなのかな? まさか、ご自身が描いたのかな?」

→二つ目のチカラ「思力」このあとの会話、絶対に盛り上がりますよね!?「旧年中は大変お世話になり……年末年始はいかが過ごされましたか?」などという、ありきたりのおべっか営業とは一味も二味も違う、お互い楽しい時間を創出できるのではないでしょうか?

そして、更に。この二つの「チカラ」を身につけることで、今日的な対人関係構築やマネジメントシーンで求められる「コーチングスキル」も磨くことができます。