高まる気持ち

事態が動いたのは、優香の叔父一平からの一声であった。

「優香よ、秀一に仁淀ブルーを見せてやれよ」

優香は微笑みながら

「行ってみますか?」

と話しかける。秀一は、突然のことで戸惑いながら

「是非連れていって下さい」

と答えていた。仁淀ブルーは、高知県のほぼ中心を流れる仁淀川の美しい水の青さを表現したものであり、絶景ポイントは、にこ淵、安居渓谷、中津渓谷の三か所である。

約束の日、一平から借りたミニトラックで、優香を迎えに行く道すがら、東京の頃と、あまりにも違い過ぎる自分の姿と心を少々持てあましていた。待ち合わせ場所に近づくと、ブルーのシャツに白いジーンズ姿の優香が、笑顔で手を振っている。

〈清楚でなんて美しいのだ!〉。

秀一の優香への思いがますます高まっていくのであった。二人は青の美しさが際立ち、神聖な場所とされるにこ淵を選んで出発した。車中での会話は、ほとんどが花にまつわることであった。優香はトルコキキョウが好きだという。

「どの色も好きだけど、紫が一番かな、花言葉も好きよ」

秀一は、優香にはトルコキキョウがよく似合うと感じていた。

「『花いけバトル』の5分間の即興は凄いね。全国大会まであるんだね」

秀一の言葉に優香も

「高校生の集中力って凄いわね」。

二人は、その話で盛り上がるのであった。

【前回の記事を読む】「いつもの職場の景色が、違って見えた」エリート官僚が誰にも相談せず退職したワケ