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史はあの夜以降も涼介の視線を痛いほど感じたが、それを振り払うかのように、以前にもまして、学業とバレーボールに打ち込んだ。

史がバレーボールの練習をしている。きりっとした顔立ちがより引き締まって見える。メンバーへの助言や声掛けに意思の強さがみなぎっている。しかし、懸命にボールを追ってはいるものの、輝くような以前の笑顔は消えている。

〈集中することで何かを断ち切りたいのか!?〉史の変化に気付いた知之は、放っておけないと感じていた。

〈聞いても話してはくれないかもなあ、それでもいい、今の史の気持ちにちょっとでも寄り添えるなら〉練習を終えたのを確認して、史に声をかけた。

「史、お疲れ!    一緒に帰ろうぜ」

「知、待っててくれたの!」

史が穏やかな笑顔を返した。二人はゆっくりとした足取りで、校舎を後にした。

「史、最近めちゃ頑張ってるなあ、大丈夫かあ」

「うん、でもなんで?」

「いやなんか気になって。なんかあったんか?」

「……あった! あったけど言えない、知になら言えそうだけど、でも言わない」

「そうかあ、あったんかあ」

それ以上聞こうとしない知之。〈子供の頃から変わらず、見守り支えてくれる知之、知之がいてくれたら大丈夫に思える〉史は知之の気持ちが嬉しかった。

「知、気にかけてくれてありがとう。大丈夫だよ」

知之は、今まで以上に史をいじらしいと思った。