花と木沓
七月一日
犬とお散歩
花びらのように
太陽はあふれて
樹々の葉にバタァをぬりたくり
あざみは露を含んで紫水晶を ちりばめる
路を問うても あかのままは
ただもぢもぢ と うつむくばかり。
犬がみつけた ひばりの巣
草の穂綴り 花綴り
桑の根方の ひばりの巣
それをつついちゃいけないと
わたしが必死にたのんだら
犬めはむくれて あきらめた。
きりぎりじいさん りゅうまちす。

花と木沓【第8回】
どんなにのろくても、春は必ずやってくる
画家・小野千世の幻の絵日記を書籍化。
先の見えない不安に寄り添う、物静かな北国からの風のたより。
心に傷を持つ少女・ちよは、修道院で暮らすことに。教室に漂う牧草の香り、修道女たちのせせらぎのようなコーラス、響き渡る鐘の音…神様に見守られながら過ごす日々は、寂しくも温かく、ちよの心をほぐしていく。画家・小野千世の幻の絵日記を書籍化。※本記事は、おのちよ氏の書籍『花と木沓』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
七月一日
犬とお散歩
花びらのように
太陽はあふれて
樹々の葉にバタァをぬりたくり
あざみは露を含んで紫水晶を ちりばめる
路を問うても あかのままは
ただもぢもぢ と うつむくばかり。
犬がみつけた ひばりの巣
草の穂綴り 花綴り
桑の根方の ひばりの巣
それをつついちゃいけないと
わたしが必死にたのんだら
犬めはむくれて あきらめた。
きりぎりじいさん りゅうまちす。