ともかく日本文化は学問では学べない、実際にこの身をもって体得しなければ学んだことにはならないと思い、最低でも10年は続けようと思ったのです。

当時、合気道の解説書に「合気道とは植芝盛平道主が難行苦行の結果生みだした武道である。そしてこれは、大自然に同化し一体化した動きであり、そこに対立相克の世界もなく、相手もなく、ただ自己の気が宇宙の気に合して動くと言うものであり、その体的表現が一に合気道として現れて来たものである。」 (植芝吉祥丸著「合気道」)と書かれていました。

私は、合気道とは謂わば「天地と合一する道」、すなわち武道を通じて悟りを得るものだと漠然と考えたのです。日本文化探検が道の探求という「求道」と深く繋がっていることを感じ始めていたのです。

私は勇んで合気道の本部道場に通い始めました。合気道の修行はその時から約30年続けることになりました。実に多くの事を学びました。それは頭での学びではなく身体での学びです。しかしまた一方、合気道たる「気」の学びでもありました。