第二章

再起

それから十年、私は一度たりともロバート・ハミルトンのことを忘れたことはなかった。交わるはずのなかった点と点が線になり、ユーラシア大陸を超えて育んだ友情は、運命のいたずらか、(たこ)の糸が途切れて、この青い空のどこかへ飛んでいってしまったかのようだった。

しかし、この広大な空に国境はない。きっとロバートは、この永遠に続く空の下、私のことを今でも覚えていてくれているに違いない。何故ならロバートの手紙をいつまでも大切にしている限り、きっとまた点と点が線になる日が来るだろうと、私は思っていたからである。

だって我々の住む世界は、七十二億人を超える無数の点が、この広い世界に住み、普段は交われない人と、今やインターネットやSNSの普及により、(つな)がれるようになったのだから。あの頃にはなかったSNSが今はあるのだから。SNSのなかったあの頃に繋がれた私たちが、SNSの普及した今、また繋がれないはずはない。

そう固く私は信じていた。

【前回の記事を読む】手紙を通じて感じた「愛すべき家族を紛争で殺された者」の憤り