日常的に何度もあそぶことで変化し、深まっていく

たとえば2002(平成14)年度の内容は、「森を切りひらいて遊園地にしようとする人間と、その森に以前から住んでいた動物たちとのやりとり」をストーリー化したものでした。

園文庫の絵本や書店の本、またそのときどきに園の子どもたちや新聞・テレビなどで話題になっているものから触発されて、一人の先生の目に『平成たぬき合戦ぽんぽこ』が目にとまります。それをきっかけにして、その後、何冊もの絵本や童話を数人の先生が読んで話し合いを重ね、テーマとストーリーのあらすじが4月中旬にできあがります。

この段階でのストーリーはまだ大まかなものですが、その流れに沿って各クラスの「あそび」が考えられ、その内容が全クラスの先生たちの“話し合い”で検討され、4月下旬に第1回の「合同あそび」(研究保育)が全クラスの子どもたちの参加でおこなわれます。

そして、その夜の反省会で、各クラスの「あそび」の内容、子どもたちの動きや先生の動き、ことばがけ、用具の出し入れのタイミングや配置などが綿密に検討されます。

その後、実際にあそびをやってみた反省に基づいてストーリーが練られ、用具の配置や、先生の役割などが書かれた台本が書き替えられます。

うんどう会までの間に、全クラスによるあそびや、複数クラスによるあそびが何度もおこなわれます。全クラスによるあそびは、主任保育士(当時は青井春江先生)の進行役で進められ、何回も物語のあらすじが子どもたちの耳に届くように語られます。各クラスのあそびや、クラスとクラスが関係するあそびがストーリーのなかでどのような位置にあり、どのような意味を持っているかも子どもたちに伝えながらあそびが進められます。

その結果、大きい年齢の子どもたちはもちろん、1歳児クラス(いちごぐみ)の子どもたちも、9月初旬頃にはストーリーをだいたい理解し、流れに沿って動けるようになります。ストーリーが理解されることによって、5歳児クラス(ももぐみ)の子どもたちからはどんどんアイデアが出されるようになります。

子どもたちの成長、子どもたちと先生の関係の深まり、そして講師による体育あそび(月3回、4・5歳児)の内容も取り入れてストーリーがふくらみ、用具も変わったり、必要な用具が手づくりされたりして、どんどんとあそびが変化していきます。