第1部「わかばの保育」

PART1 保育における理念と日々の実践より

「大東わかば保育園」の理念から

●一人ひとりの子どもをよく見つめることから

スローガン保育でなく、子どもと真正面から向き合って開園以来、「当園では特に○○に力を入れて保育しています」とか「○○保育」というようないい方を意識的に避けてきました。それは「○○保育」というようなスローガンのかげで、子どもたちが、そして直接保育にあたる先生たちが少なからず犠牲を強いられ、人間性の一部だけを強調されてバランスを欠く結果を生じている現実をところどころで見ていたためです。

特色を打ち出せば保護者も理解しやすいですし、現場の運営も進めやすいでしょう。一方、特色を打ち出さないでいることは、目標に向かっての努力を避けて、日常的なものに流されていく状態になってしまう危険もあるわけです。

しかし、そのような「わかりやすさ」ではなく、子どもと真正面に向き合い、一人ひとりの子どもをよく見つめて、そのときどきにできるだけのことをしようという姿勢で臨むならば、一歩一歩とよい方向に向かうのではないかとの思いがありました。

そして、このような保育園運営の基本的な姿勢を持った園長のもとに子どもたちと職員とが日々を積み重ねて、現在の大東わかば保育園に至りました。

当園を卒園した園児の保護者や退職した職員、そして当園の保育に外からふれた人から伝えられる「わかばの保育」のイメージ。私自身がふり返っても、そこには確かに、ほかの保育園や幼稚園と比較して特徴的なものがある気がします。