般若心経エッセンスは「すべての事象には実体がない」です。それを超訳すると大きく分けて二つになります。

一つは「すべてこの世は移ろうもの。変わらないものは何もない(諸行無常)」

その先をさらに読んでいくと、「頑なさを手放すことで人生は大きく変わる」。頑なさは、「こうであるべき」という偏った概念。それを無くしていくことでこんなメリットがあります。新しい自分との出会いがあり、新しい人との出会いも広がり、そして新しい発想も生まれやすくなる。

もう一つは「人は繋がりの中で生かされていて、自分一人では存在し得ない(諸法無我)」

それをさらに掘り下げていくと、「あなたは一人じゃない。あなたはみんなに生かされ、またみんなを生かしている」。もし「自分は人の役に何も立てていない」と思われているとしたら、それは完全に誤ったものの見方です。僕は、「正しい」「間違い」という議論は好きではないのですが、これに関してははっきり言い切れます。

真理とは時代や環境が変わっても変わらないもの。この般若心経のエッセンスはまさにそれです。現状に不満がなければ変える必要はありません。でも、不満があるとしたら、何かをしなければ変えることはできません。その時にそれを邪魔するのが頑なさ。「こうあるべき」です。しかし、あなたが信じている「こうあるべき」にも実体がないので、そこにとらわれる必要も無いのです。

あなたはとらわれていたことが原因で、変われるせっかくのチャンスをつぶしてしまったこと、ありませんか? 人は“諸行無常”の(ことわり)の中で生かされています。変わって当たり前、むしろ変わらないでいることの方が不自然なことなのです。