大切なことは、体験したあとに自宅に戻り、感想を冷静になって家族で議論したり、疑問点やカイゼン点などを、「これでいいのか?」と、腑に落ちるまでとことん考え続けさせることだ。必ず、「君と一緒のお出かけは、楽しかった!」と言おう。

さまざまな経験の場数より、脳内のシナプスが増加すると学習力がアップし、子どもの進路の選択肢がさらに広がる。

つまり、多様な経験によるインプットがなければ、クリエイティブなアウトプットは創出されない。無限の可能性を秘めている子どもの隠された扉をオープンさせたい。食わず嫌いにならないように、機会損失に対して、細心の注意を図りたい。

「来週の日曜日は、〇〇で△△体験をやってみよう!」と言おう。毎日、ワクワクと期待感をもちながら、楽しく生活することができる。

トヨタでは、「タテ・ヨコ・ナナメのネットワークの人脈を構築しよう!」と言われるが、ありとあらゆるコミュニティーからいろんな方を誘ってみるのも、シナジー効果により新たな発見につながり、さらに子どもの人脈が広がる。憧れの先輩や尊敬できるパーソンを一人でも多く増やすことで、子どもの視野を広げて、目標レベルを、一段二段と上げさせたい。

フルマラソンである人生において、たくさんの経験ができる幸せは、極上の宝物である。親の子どもに関わる覚悟と行動次第であり、これが見返りを求めない親の真の愛となる。「天は二物を与えない」との格言があるが、それなら必ず、「一物はある」はずだ。親として、差別化を図れる圧倒的な一物を見いだしてあげたい。そのためには、真心の愛情と努力が必要不可欠である。

経験知により体に蓄積された各種スキルは、決して没収されることはない。なぜなら、人間の強固な根っこになるから。

親として、「やらせなかった後悔より、やって後悔!」である。子育てにおいては、損得勘定ではなく、真面目に愚直に徹底的に、信念を貫きたい。

タテ糸とヨコ糸で生地を織り上げる自動織機の発明がトヨタグループのルーツである。

多くの人との出逢いと、多岐にわたる経験というタテとヨコの糸を幾重にも織りなして、みのり豊かな人生を歩んでほしい。

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