【前回の記事を読む】トヨタ式子育て術…子どもに「興味をもたせる」意外な方法とは

第一章 子どもの地頭力を鍛えるためのトヨタ式

安全を教え込む

トヨタの管理指標の優先度は、安全と品質が最重要事項である。この二指標は、生産性・コスト・納期・モラル・環境などの各種の管理指標をはるかに上回る。

安全と品質は、微動だにしないプライオリティー一番二番の別格の指標なのだ。

この考え方が、すべての設備計画や現場の運営管理のベースとなり、あらゆる業務にも適用される。そこで子どもには、管理指標を意識させる訓練をしたい。

「海と山、どっちに行きたい?」と聞こう。次に、子どもの選択に対して、「仮に、今が夏だったら、冬だったら、友達と一緒だったら、祖父母と一緒だったら」といろいろな仮説の視点から、先入観を捨てさせて、徹底的に考え続けさせる。子どもに、スピード感ある意思決定力をつけさせたい。

トヨタの一日は、朝礼の安全宣言で始まり、夕礼の安全確認で終わる。つまり終日、安全漬けである。一つの災害が発生すると、数千倍、下手をしたら数万倍のコストに跳ね返ってくることを覚悟しなければならない。よって安全に関しては、災害の未然防止のために、経営リソーセスを相当投入しなければならないということだ。安全への積極的な投資は、損をしないどころか、必ず儲かるのだ。

トヨタの現場経験則から、証明されている。ちなみにトヨタの新入社員教育で、赤チン災害の多いカッターナイフの使い方を指導するが、子どもにもナイフを与えて、鉛筆削りの猛特訓をする。どう扱ったら、安全で高品質に鉛筆が早く削れるのかを考察する。

またトヨタでは、「知らぬと仏」という、語り継がれる教えがある。「知らぬが仏」ではない。この危険性を知っていないと、仏さまになってしまうよという、戒めである。