ほかにも、海洋プレート内部に歪が溜まり、そこで起こるプレート内部の地震もあります。さらに、プレートの沈み込みにより日本列島内部に歪が溜まり、それを解消するために起こる内陸地震もあります。「二〇一八年胆振中東部地震」、「二〇一七年熊本地震」や「二〇〇四年中越地震」、「一九九五年兵庫県南部地震」など近年甚大被害をもたらした地震はこのタイプです。

地震は、プレート境界面や内陸の歪集中帯で形成されている断層面で発生します。プレート境界では、境界面が一様な強度を持つわけではなく、歪に耐えられる場所と、地震を起こさないでずるずるとすべっている場所があることが知られています。したがって、破壊して地震波を発生させる歪を溜める強度の大きい場所を知ることができれば、地震が発生する可能性がある場所の予測に役立ちます。

このようなプレート面の不均質を調べる探査を行うこともできます。口絵に、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の震源域での反射法地震探査の結果を示しました。

[口絵]東北地方太平洋沖地震の震源域での反射法地震探査結果 (Kodaira et al. 2017に加筆)。右側から太平洋プレートが沈み込んでおり、そのプレートと陸の地殻の境界面がすべり面となっています。プレートが沈みこむところは海溝であり、その陸側では海底面からはぎとられた堆積物が陸側に押し付けられた付加体が形成されています。そこが地震時に大規模に変形して海溝付近の海底面を大きく動かし、巨大な津波を発生させました。

この地震では、プレート境界面上面の陸側の地層が、海溝側に動くことにより、境界面において強い地震波を発生させました。付加体と記した三角形状の場所に、遠洋の海底で堆積した軟らかい堆積物が沈み込むときにはぎとられ、大陸側の地層に付加されてできた地層です。

そこが地震時に大規模に変形して海溝付近の海底面を大きく動かし、巨大な津波を発生させました。陸側の地層は、くさび型状になっていますが、付加体の部分が大きいと巨大な津波を発生させる可能性があります。

プレート境界面の大体の位置を破線で示しましたが、実際の反射面は凸凹があり、その境界には小さい断層が何本もあることがわかります。反射法地震探査は、海底下のプレート境界で起こる大地震の震源域の地下の様子を知るのに非常に役立ちます。