一・五・四 地震波速度

地震探査により得られるP波速度やS波速度は、鉱物粒子や間隙流体の弾性率と密度により決まります。地震波は、主に粒子を伝わっていきますが、間隙も伝わります。

P波は縦波の粗密波なので間隙流体でも伝播しますが、S波は横波でせん断変形(上面と下面の食い違いの変形)で伝わるので、それに対する抵抗がない流体中は伝播しません。

普通の鉱物粒子ではP波速度が四km/秒から六km/秒くらい、S波速度は二km/秒から四km/秒くらいですが、間隙流体のP波速度が水の場合は一・五km/秒、空気の場合は〇・三km/秒くらいなので、岩石としての速度はそれらの混合した値になります。したがって、間隙率の小さい硬い岩石では高速度、間隙の多い軟らかい岩石や亀裂が多い岩石では低速度になります。図1に、いろいろなタイプの砂岩について、地震波速度と間隙率との関係例を示しました。

写真を拡大 [図1]

岩石の産地や生成年代より同じ間隙率でも速度は幅を持ちますが、間隙率が大きくなると速度も遅くなる関係が明瞭に見られます。S波は間隙流体の影響は受けず粒子の性質を反映します。P波は粒子だけでなく間隙の影響を受けます。間隙に水が多いと高速度になり、空気が多いと低速度になります。そこで、P波速度(Vp)とS波速度(Vs)との比(Vp/Vs比)は、水を含む岩石では大きくなり、乾いた岩石では小さくなります。

Vp/Vs比は、ポアソン比といわれる弾性体の性質にも関係しています。ポアソン比とは、物体の上面に垂直に力を加えると側面も膨らみますが、この側面の横ひずみと垂直の縦ひずみとの比のことです。普通の岩石は〇・二五くらいの値です。以上のように地震波速度は、間隙率や間隙流体の種類に依存しますが、このような性質は岩石の強度や透水性にも関係しています。したがって、P波速度を基にして、ダムの基礎岩盤の強度や透水性を判定する基準やトンネルを掘るときの工事方法の判定基準が作成されています。

S波速度により堤防内の砂層と粘土層を区別することも行われています。